シン・ニホン(安宅和人)感想

YoutubeのTEDtalk で見かけてから気になり、本屋でその分厚さに一瞬怯みつつも購入した本書。今の世界の現状、その中での日本のヤバさとそれを打開するための方法、そして日本の持つポテンシャルを示してくれていて、極端に言うと絶望の後に希望を与えてくれる本。そろそろ就職とかを見据えないといけなくなってきて社会のことを考えようと思い始めたのだが、コロナやコロナによって浮き彫りになった問題等、日本って詰んでない!?と思うようになった。現代はAI×データ時代に突入した中で「日本はもはやギリギリ先進国を保っていると言われても仕方ない状況」というような記述を見てハッとした。いろんなところで無理をしながら古いやり方で少しずつ沈んでいっているというのが現状で、このままだとただの貧困国になってもおかしくないということか。ただ日本の強みは、黒船の来襲から先進国に追いつく急成長を見せた、catch up力であって、まだ打つ手は残されているといい、読んでみると日本の産業の伸び代や人口減少曲面が致命的な要因ではないことなど、確かに希望はまだあると感じた。ただし課題は多い。少なくとももう少し未来に投資できる国にならなければならないだろう。

 

本文で課題先進国という言葉が紹介されている。課題が山積みというネガティブな意味が広まっているが、元々は課題解決先進国であり、世界的な課題を先行して解決し時代を切り開いていくという意味だったらしい。今の日本はどのような状況に置かれているのか、この十数年でどのようなことが可能になったのか、これからどのようなことが可能になるのか、それをどう使い未来(=夢×技術×デザイン)を創っていくのか、そういう人材や研究を支える仕組みをどう実現するか。現在位置と正しく認識し未来を正しく見据えるために多くの人に読んでほしいと思った。

 

良い未来を創っていくには教育の力は欠かせない(本文では特に数学的な素養と国語(空気を読む・感想を書くような力ではなく思考を表現する・論理を積み上げるような力が大事とされている)の力がデータ×AIの力を使い課題解決を目指す道もありだと思い始めた。地元にまともな企業はないと思っていたけど、調べてみると意外に盛んらしい。そういう意味でこの本もまた重要な1冊となった。