ケーキの切れない非行少年たち(宮口幸治)

多くの非行少年たちと出会ってきた筆者が強く感じたことは, 「反省以前の子ども」が多くいるということ. 簡単な計算ができない, 漢字が読めない, ケーキを3等分するなどの簡単な課題ができないなど, 認知機能の低さが生きにくさにつながり, 学校が面白くなくなり, 非行や問題行動に走ってしまうパターンがよくあるということだそう.

  • 少年院で更生のためのプログラムで認知療法を施そうと思っても, そもそもの認知機能が欠けているため効果がない, 逆に認知機能を高めるような簡単なトレーニングをやらせてみると子どもがどんどん変わっていくことがある.
  • 軽度な知的障害や境界知能と呼ばれる人たちが適切に支援されない一方, 社会では厄介者扱いされ, 最終的に犯罪を犯してしまう, とりわけ学校でその兆候が見逃され, 手に負えなくなってしまった子どもが少年院に行きついてしまうことはある意味で「教育の敗北」である. 
  • そのような子どもたちの非行を防ぐには全ての学習の基礎となる認知機能にアプローチして, 勉強についていけるよう, 対人関係を構築できるような教育が効果的.(認知機能を高めるためのトレーニング, 通称コグトレを提唱している. )
  • 褒めるだけの教育では意味がない
  • 自己肯定感の低さが問題にされることがあるが, 自己肯定感を高めるには子どもたちができるようになること, すなわち能力を高めること, つまるところその根源となる認知機能を高めることが肝要である.