先生この「問題」教えられますか?教育変革時代の学びの教科書(石川一郎、矢萩邦彦)感想①

順番的に教育関係の本を読もうと思っていた。すぐ読めるかと思ったら、なるほどが止まらず全然進まない。半分も読んでないのだが一旦アウトプットすることにした。

教員採用試験の要項が出そろう時期になり、県が出している指針を読んだりするのだが、「そりゃそういう力は必要なんだろうな」という感情以上でも以下でもない。本の中にこんな一文がある。

「何を目指しているんですか?」「世界平和です!」みたいな答えは誰も否定できない。でも、「じゃあ、そのためにあなたは具体的に何をするんですか?」というところまで持っていかないと。

スローガンだからある程度は仕方ないのだろう。じゃあどうすれば?と思ってしまうが、当然明確な答えはない。ここで「生きる力」を育む教師が安易に答えを求めてはいけない。

抽象的な指針を抽象と具体を行き来しながら、自分軸に沿って理解し、解釈し意味づけをして現場に落とし込む。こういう活動は人間である教師にしかできない。

教師自身が学習者としての視点を持ち、生徒の目の前で実践しなければならない。
前半(2章まで)の内容としては、新時代にむけて「従来型の教育」(詰め込み型)の問題点と「新しい教育」のポイントが述べられている。これから育成すべき力が何であって、その力をを学校教育でどう実践し、どう評価するか、新しい「思考型」のテストの例や「思考コード」なども用いながら、それを考えるヒントがたくさん込められている。この時点でめちゃくちゃ勉強になっている(まだ半分もいってない…)。
以下、ここまでで印象に残ったフレーズ。(全然書き切れない)

  • 「自分が成長したな」というような実感がない的モチベーションになっていく。その自分のアップデートや成長の実感をいかにプロデュースするか、というのがこれからの教育のポイント。
  • 従来型の学びというのは、基本的に答えがすでに決まっている。道徳でも外側から規定された善悪の方向性が暗に示されている。それを察して周囲の価値観に迎合するのがよしとされている。しかし、自己決定能力というのはいわば倫理的であって、「法律ではやってはいいことになっているけど、僕はやらあい方がいいと思う」というような、自分自身で内側から考えて良し悪しを判断するような態度と能力を指す。
  • 学習の目的が「答えのある問題を解くため」になってしまうと、「答えのない問」や「答えが複数ある問い」に対応できなくなる。未知の状況に対して臨機応変に対処する能力が養われない。
  • インターネットは「その情報がなんなのか」は教えてくれるが、「それをどう活用するか」「自分は何をすべきか」は教えてくれない。自分自身で決定する必要がある。
  • 教養が「状況」であるということは示唆に富んでいる。これからの学びは知識よりも方法や態度である。
  • 自分でも答えの出せない問いを生徒に問うのは難しいという声を耳にするが、「生きる力」すなわち答えのない問いに立ち向かう力を養うのならば、教師自身もまた答えのない問いに立ち向かっていなければ構造的に矛盾してしまう。それこそ態度の問題。
  • 東京大学の推薦入試に「受験対策」を追い求めても限界があることは、予測不可能な未来を生きる私たちが目指す学びの本質がどこにあるかを表している。
  • 今日本が求めている素養を持った学生を選別する最高レベルの入試問題ですから、東大の問題を分析し参考にすることは教師に限らず大いに意味があります。

教職の勉強なんてしょーもないと思っていた自分を殴りたい。今の状況が考えるきっかけを与えられてアクティブラーニングしている状況なのか。
教育の本めちゃくちゃおもろいな。なるべく早く続きを読まなければ。