新しい学力(斉藤孝)

新学習指導要領で重視される「アクティブラーニング」に代表されるような学力観の変化に対する筆者の考えが述べられている。本文では、ペーパーテストではかられるような体系的にまとめられた知識を吸収し再生できる力を「伝統的な学力」とし、これに対し、課題解決のために必要な思考力・判断力・表現力を中心とする力を「新しい学力」としている。「新しい学力」のイメージに引きずられ、その形式や手法の真似事に終始した結果、かえって学力が低下するような事態が懸念されている。

  • 問題解決型の新しい学力の本質を理解し、効果的な教育方法を実践できるようになること。「伝統的な学力」と「新しい学力」を統合した授業スタイルを確立することが重要。
  • 効果的に主体的・対話的で深い学びを実践するには教師の指導力が求められる。例えば調べ学習と称してふわっとした緩い授業が行われたところで、子どもたちに何か身につけさせることはできない。それに対し、指導内容が教科書にまとまっている「伝統的な学力」はある程度の教育水準が保障されやすい。
  • PISA学力調査で順位が下がっているとはいえ、ほとんどの欧米諸国よりは上位であること、また日本よりも上位にいる国の多くは規模の小さい東アジアの国であることを踏まえると、欧米の学習スタイルに合わせる必要性が本当にあるのか?
  • 日本の近代史を作っていった人たち、戦後の日本を作った人たちは「伝統的な教育を受けた人たち。「アクティブラーニング」などというスローガンがある前から優秀な教師たちは様々な工夫がしてきた。「何か新しいことが始まる」という受け取り方は現実に即していない。
  • 個性を尊重しようというスローガンのもとで、教育改革を進めてきたこの30年間で個性化は進んだか?与えられた「ゆとり」を活用して好奇心を持って主体的に学習をしたというよりは、単純に学習時間が減っただけというのが事実に近いのではないか?
  • 伝統的な学力が求めている基本的知識を中心とする教育「内容」を新しい学力が求めている学びの「スタイル」で学ぶことが目指されるべき道。
  • 日本教育が得意としてきた「型の学習」はこれからも有効。
  • 読書の重要性、+プレゼンテーション
  • 憧れに憧れる。教師は冷凍食品である学習内容を感動による解凍作業をしてから生徒に届ける。
  • 大事にすべき知情意体

などなど非常に良いことがたくさん書いてある。また読もう。