直積と直和

読書とは関係ないが、直積と直和について。直積は比較的馴染みがあるが、直和と言うと、線形代数では「有限のときは同じだから直積と思ってください」などと言われて、じゃあ直積でいいじゃない、などと思っており、どんな違いがあるのかよくわかっていなかった。直積と直和が異なる例として

オブジェクトを  \mathbb{Z} x\mid y のとき  x \to y と定めた圏において、xy の最大公約数が直積に相当し、最小公倍数が直和に相当する。

\{a,b\}\{c,d,e\} の直和は disjoint union \{a,b,c,d,e\} になり、直積と異なる。(集合論的な直和)

を考えた。直積は攻めで直和は受けのイメージ(直積は矢印の根元になりやすく、直和は矢印の先の方になりやすい)が少し掴めた。(ある先生は直積を最弱いじめっ子、直和を最強いじめられっ子と説明していた)のとき、 a \to k, b\to kab k の約数)なる整数 k に対して  l \to kg k の約数) が成り立つ。(図式を書いてみる) l ab からの矢印を受ける数のうち最小のものと言える。これは\mathrm{lcm} (a,b)=l を意味する(何かの本で普遍性を、特定の性質を持つものがアイサツをしなければいけないもの、と説明されていたが、最小公倍数の例でいくと、ab の公倍数は l を経由して達成できると解釈できる、また ab の矢印を受けられるもののうち最小、すなわち最強いじめられっ子)。最大公約数の場合、g\to a, g\to b (g\mid a, g\mid a) とすると  k\to a, k\to b (k\mid a, k\mid b) なる k に対して、 k\to g, (k\mid g) これは gab の最大公約数であることに他ならない。(図式をかく、最小公倍数の方は k を上に、最大公約数の方は k を下にして図式を書いた方が感覚が掴みやすいかも)(ab に矢印を出せるもののうち最大のもの、すなわち最弱いじめっ子)

なんとなく直和と直積の違いがわかってきた。直和から出る射は考えやすいが、直和に入る射は考えにくい。逆に直積に入る射は考えやすいが、直積から出る射は考えにくい。というふうに言うこともできる。

ベクトル空間の直和と直積について、有限個の場合この2つは等しくなるが、それは  V_1 \oplus V_2 \to V, (v_1,v_2) \mapsto f(v_1)+g(v_2) という射が定まるかどうかによる。(図式を書いてみる)有限のときは何事もなく定まるが、無限のときはこの和が定まらない。(なので、有限個を除いて 0 の直積と考えられる。)直和という名前はこの射が和で書けるというようなところから来ているかもしれない(そうでなかったとしても整合性が取れている)。

是非覚えておきたいので投稿しておくことにしました。